この週末、本来であればKYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2020の開幕を迎える予定でした。それがコロナウイルスの感染拡大により、新たなストーリーが書かれつつあります。
残念ながらフェスティバルは延期となりましたが、アーティスト、キュレーター、KYOTOGRAPHIEチームは、皆様と共にこの事態が収束する時をそれぞれの家から待っています。
今は、愛する人を大切にしながら、私たちの生活を見直し、あらためて世界について考える時です。
フェスティバルが皆様と共にあるために、KYOTOGRAPHIE 2020のアーティストたちのVISION from Homeを共有したいと思います。
このストーリーは2日ごとに更新されます。外出禁止状態にあるこの状況下でそれぞれのアーティストの視点から撮影されたこの写真が、秋に開催される写真祭のムードを先取りして皆様に感じて頂けると幸いです。
まだ大変な状況が続いていますが、皆様やご家族がご無事であるよう、切に願っています。
Stay Home, safe and happy!

2020年4月18日

KYOTOGRAPHIE 共同創設者/共同代表
ルシール・レイボーズ & 仲西 祐介

Maimouna Guerresi

マイムーナ・ゲレシ
モロッコにて

不在 ── 隔離

住居

抵抗

回復する力

マラケシュ

アルマーデン現代アフリカ美術館(マラケシュ)

新たな別荘

古代の影

Ville nouvelles and Shadou 1 ©Maïmouna Guerresi
Ville nouvelles and Shadou 2 ©Maïmouna Guerresi
Ville nouvelles and Shadou 3 ©Maïmouna Guerresi
Ville nouvelles and Shadou 4 ©Maïmouna Guerresi

Mari Katayama

片山真理
群馬にて
♯STAYHOME ©Mari Katayama
♯STAYHOME - collage with my daughter #001 © Mari Katayama
♯STAYHOME - collage with my daughter #002 © Mari Katayama
♯STAYHOME - collage with my daughter #003 © Mari Katayama
♯STAYHOME - broken heart © Mari Katayama
♯STAYHOME - collage box @ Mari Katayama

Omar Victor Diop

オマー・ヴィクター・ディオプ
ダカール、セネガルにて

これからの数週間数ヶ月を、また(おそらく)すぐに私たちがお会い出来る日のための追加の準備期間をとして、このダカールのスタジオで過ごそうと思います。みなさんどうかご無事で、そしてクリエイティブでいましょう。

© Omar Victor Diop

Elsa Leydier

エルサ・レディエ
ブラジルにて

この写真は、私がブラジルで隔離期間中に滞在した場所で早朝に撮影しました。風景の中央に見えるのは霧です。この霧こそが、私が今感じていることを物語ってくれます。 
ありがたいことに私は豊かな植物に囲まれ、外界から遮断されているので今のところ全て順調です。しかしながら、誰しも遠くにある脅威を感じていることでしょう。私は恐ろしさを感じる一方で、貧しさゆえに自主的な隔離生活ができず、さらには政府がきちんと状況を把握しないがために、さらに弱い立場に立たされている本当にたくさんの人々、特に数百万のブラジルの人々のことを想うと、無力さを感じてもいます。

©︎ Elsa Leydier

Atsushi Fukushima

福島あつし
神奈川にて

このような状況になってしまったこと。KYOTOGRAPHIE2020が延期になってしまったことを、とても残念に思っています。
現在の生活状況下において、私の写真作品が皆さんにとって有効な力を発揮することはないかもしれません。
しかし、いつか必ず新型コロナウイルスを克服する時がやってきます。
その時に、誰かの生きる原動力のひとつに、自分の作品がなれるように現在も私は準備し続けています。
そして私は作品制作のかたわら、農業に従事しています。
みなさん、このような状況の時は、しっかりとした栄養のある食事をとりコロナに負けない身体をつくりましょう!!

© Atsushi Fukushima

Pierre-Elie de Pibrac

ピエール=エリィ・ド・ピブラック
京都にて

この大変な時期のさなかでも、私はポジティブでありたい。とはいえ、日本でのプロジェクトのための制作もできないし、元気なときもあれば憂うつなときもあり、ポジティブにいるのは本当にむずかしいことだ。けれど、普段は混雑している場所で尺八を吹く男性が映るこの写真にある一瞬は恵みに満ちたものだ。この一瞬もまた、私をより良い方向へ導いてくれる。

© Pierre-Elie de Pibrac / Agence Vu'

Kai Fusayoshi

甲斐 扶佐義
京都にて

新型コロナウイルスがもたらす世界規模の災危の収束を願ってやまない。
この災いをいかに福に転化すべきか。
写真家としての私を経済的に支えたのは、喫茶店やバー経営であったが、今後飲食店の営業形態が大きく変わることが予想される。また市民生活の変容によって、スナップ写真を本領とする私にとっては、街頭から人が消えた状況での撮影活動が難しくなってきた。
しかし逆に、ここに何かチャンスがないだろうか。
現在の沈滞した日常生活の中で、私はいま過去の自分の写真を何度も見返し、撮影当時の思考回路を再確認し、これまでにない可能性を発見した。
この発見をどのように新たな表現として高めていくかを思案している。

2020年4月18日 71歳の誕生日に

BAR八文字屋のカウンター @ Kai Fusayoshi
夜の繁華街、木屋町通 @ Kai Fusayoshi

Marie Liesse

マリー・リエス
サルト、フランスにて

私は今、フランス西部の田舎地区、サルト県のあるとても古い家で隔離生活をしています。その家はいろいろな種類の幽霊を迎え入れそうなくらいに古く、私は子供へのちょっとした幽霊話を思いつき、8歳になる息子アントンに白いシーツを着せました。
定義によれば、幽霊は時空に閉じ込められているものです。彼は、外の世界に出たいと思いながらも、家の中で運動したり、外の世界の危険を回避出来る活動を探し求めて、屋根裏から地下室まで歩き回っています。
つまるところ、彼は暇を潰しているのです。

©︎ Marie Liesse
©︎ Marie Liesse
©︎ Marie Liesse
©︎ Marie Liesse
©︎ Marie Liesse

Ryosuke Toyama

外山亮介
京都にて

このところ、自宅前の畑を耕している。
土の香りと蠢く虫たち。遠くではウグイスが啼いている。
去年の春、東京新宿から京都の山間部に拠点を移し、人間が「生きる」という単純な世界を垣間見ている。まだまだ手探りだが、社会の構造に依存し過ぎず、自分たちで出来る事を少しずつ増やしていきたいと思っている。
これは自分の写真にも共通している。カメラもフィルムも自分で作り、構図も単純にする。余分な要素を削ぎ落とし、重要なことだけを浮き彫りにする。
これは懐古主義では無く、未来への展望だと思っている。
写真とは何か。この先、どう生きていくのか。
鍬を大地に突き刺しながら、思考を掘り下げていく日々を過ごしている。
今回のコロナ禍が1日でも早く収束し、新しい日々が始まる事を願っています。

©︎ Ryosuke Toyama

Marjan Teeuwen

マリアン・ティーウェン
京都にて

KYOTOGRAPHIEとのコラボレーションにより実現した、私の9作品目となる建築的インスタレーション《Destroyed House Kyoto》は、京都市の中心部にある2軒の町家が舞台となっている。彫刻としての建造物でもある私の作品は、建物自体の構造の強度と破壊力の相互作用により構成されている。破壊と解体、存続と秩序という構造的両極性による混沌こそが、魔の矛盾とも言うべき人間の本質である。
私は1月から京都に滞在制作し、《Destroyed House Kyoto》は90%ほど完成されつつある。コロナウイルス感染症拡大の影響により本プロジェクトを完成させることなく、まさに今夜オランダに帰国しなければならないことを悲しく思う。

Marjan Teeuwen in her "Destroyed House Kyoto", April 2020 © Marjan Teeuwen
"Destroyed House Kyoto", Installation view, April 2020 © Marjan Teeuwen
"Destroyed House Kyoto", Installation view, April 2020 © Marjan Teeuwen

Wing Shya

ウィン・シャ
香港にて

CHILL

© Wing Shya / April 2020